消費者庁は10月23日、通販サイト「AliExpress」を運営するAlibaba.com Singapore E-Commerce Private Limitedが「製品安全誓約(日本国)」に新たに署名したと公表した。署名したオンラインマーケットプレイス(OM)運営事業者は11社になった。同日、9月分の削除実績の速報値も公表している。
背景
製品安全誓約(日本国)は、リコール製品や安全ではない製品から消費者を守るための官民の取り組みで、2023年6月29日に始まった。法律上の製品安全の枠組みを超えた自主的な取り組みと位置づけられ、OM運営事業者が12項目の誓約を守ると表明する仕組みだ。参加するには、12項目をどう実施するかを記した書面を消費者庁に提出し、確認を受けたうえで、署名した誓約書の写しを提出する。
誓約の3項目めは、行政からの削除要請を受けた場合に、リコール製品や安全ではない製品の出品を削除することを求めている。消費者庁はこの項目について、月ごとの速報値を公表している。
参加事業者は令和8年10月時点で次の11社である。
- アマゾンジャパン(Amazon.co.jp)
- eBay Japan(Qoo10)
- auコマース&ライフ(au PAY マーケット)
- メルカリ(メルカリ、メルカリShops)
- モバオク(モバオク)
- LINEヤフー(Yahoo!ショッピング、Yahoo!オークション、Yahoo!フリマ、LINEギフト)
- 楽天グループ(楽天市場、楽天ラクマ)
- 三井不動産(Mitsui Shopping Park &mall、三井アウトレットパーク オンライン)
- Whaleco Japan(Temu)
- BASE(PAY ID)
- Alibaba.com Singapore E-Commerce(AliExpress)
事業者への影響
国内の主要モールに加え、TemuとAliExpressという中国系の越境モールが同じ枠組みに入った。これが今回の意味である。出品者から見れば、商品の安全性にかかわる削除の基準が、モールごとの社内ルールだけでなく、行政要請への対応という共通の土台を持つことになる。リコール対象品や安全基準を満たさない商品を扱っていれば、どのモールでも削除要請の対象になり得る。
一方で、実績の規模は小さい。消費者庁が10月23日に公表した9月分の速報では、行政の削除要請を受けて署名事業者が特定した出品は4件、2営業日以内に削除されたのは4件で、実施率は100%だった。主な製品群は直流電源装置とされている。削除は製品の件数ベースで数え、要請を受けた日の翌営業日から2営業日以内が基準となる。事業者別の内訳は公表されていない。
月4件という水準は、この枠組みが行政要請への応答速度を担保するものであり、出品の網羅的な監視を代替するものではないことを示している。自社が扱う商品の安全性の管理は、引き続き出品者自身の責任に残る。越境モールとの価格競争を安全基準の差で説明してきた事業者にとっては、競争条件の説明の仕方を見直す材料にもなる。
今後の見通し
消費者庁は参加事業者の追加と速報値の公表を続けるとみられる。年次報告は12項目全体を対象に1月から12月の期間でまとめられており、2023年分から2025年分が公表済みである。越境モールの参加が増えれば、削除要請の件数や製品群の内訳も変わる可能性がある。
出典
- 消費者庁「製品安全誓約(日本国)に新たに加わるオンラインマーケットプレイス運営事業者について」令和8年10月23日 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/product_safety_pledge/assets/consumer_safety_cms205_261023_06.pdf
- 消費者庁「製品安全誓約(日本国)参加事業者」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/product_safety_pledge/online_marketplace
- 消費者庁「重要業績評価指標(速報版)令和8年9月実施」令和8年10月23日 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/product_safety_pledge/kpi_2026/assets/consumer_safety_cms205_261023_01.pdf
- 消費者庁「製品安全誓約(日本国)」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/product_safety_pledge/


