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D-SHOGYO
2026年10月25日(日)
EC・店舗集客・検索マーケティングの専門紙
EC・通販

消費者庁長官、AI代行の買い物も特商法で対応へ 個別事案ごとに判断

消費者庁の堀井奈津子長官は10月15日の記者会見で、AIが購入を代行する取引に特定商取引法で対応する方針を示した。最終確認画面の表示義務は売り手に残る。AIアシスタント導線の設計を見直す必要がある。

消費者庁長官、AI代行の買い物も特商法で対応へ 個別事案ごとに判断

消費者庁の堀井奈津子長官は10月15日の記者会見で、AIエージェントが消費者に代わって商品を選び購入する「エージェンティックコマース」について、特定商取引法の規定に照らして問題がある場合は同法で対応する方針を示した。会見要旨は10月16日に同庁のサイトに掲載された。一方で、AIの提供主体や代行の範囲は多様だとして、個別事案を離れた一般論としての法的評価は現時点では難しいとの認識も示した。

背景

エージェンティックコマースは、利用者の指示を受けたAIが商品を探し、比較し、決済まで進める買い方を指す。大手の検索事業者やモールがAIによる商品提案や比較の機能を広げており、注文の一部をAIが代行する取引はすでに現実の論点になっている。

特商法は通信販売について、広告の表示事項と、申込みの最終段階で示す確認画面の表示を販売事業者に義務づけている。これらは人が画面を見て申し込む前提で組まれた規定である。AIが画面を読み、人のクリックに代わって注文を確定させる場合にどう当てはめるかは、条文から一読して決まるものではない。

長官は会見で、まず通信販売の義務が守られているかを確認する姿勢を示したうえで、エージェンティックコマースによる影響や新たに考慮すべき要素については「未知数の部分があります」と述べた。消費者委員会の専門調査会で、AIエージェントが消費者の意思決定に与える影響が議論されていることにも触れている。

事業者への影響

確認しておきたいのは、表示義務の相手が販売事業者であるという整理が崩れていない点だ。AI経由の注文が増えても、分量・価格・支払時期・引渡時期・申込みの撤回や解除の条件を最終確認画面で示す責任は、原則として売り手に残る。AIを提供する側に責任が移るわけではない。

自社ECにAIアシスタントを置く事業者、あるいは外部のAIエージェントからの注文を受ける設計を検討している事業者は、次の点を先に決めておきたい。

  • AIに任せる範囲をどこまでにするか(検索と比較までか、カートへの投入までか、決済までか)
  • 最終確認画面を誰に、どの画面で見せるか
  • 定期購入の解約条件や次回発送日の表示を、AI経由の注文でも欠かさない仕組み
  • 注文がAI経由かどうかをログで判別できるようにしておくこと

定期購入は特に注意がいる。解約条件の表示不備は従来から指摘の多い論点で、AIが申込みを代行した場面で表示が省かれれば、責任の所在は売り手に向かう。導線を外部に開く前に、表示の経路を確かめておくほうが安全である。

今後の見通し

消費者庁は当面、個別事案ごとに判断を積む構えとみられる。一般的な解釈や運用の指針が先に示されるかどうかは、今回の長官発言からは読み取れない。消費者委員会の専門調査会の議論が、表示義務の当てはめ方を整理する材料になる可能性がある。事業者側は指針を待つのではなく、現行の表示義務を満たす形でAI経由の導線を組むのが当面の進め方になる。

出典

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