LINEヤフーは9月25日、Yahoo!ショッピングがGoogleの「YouTube ショッピング アフィリエイト プログラム」と連携したと発表した。プログラムの条件を満たすYouTubeクリエイターが、動画にYahoo!ショッピングの商品を紐づけられる。視聴者が動画から購入すると、クリエイターに報酬が入る。基本の料率は商品カテゴリーごとに2〜4%で、店舗側は上乗せした料率を独自に設定できる。
背景
YouTubeショッピングアフィリエイトプログラムは、クリエイターが動画や配信に商品を紐づけ、成果に応じた報酬を受け取る仕組みである。日本では2026年2月に楽天市場が国内初の連携先として始めた。今回のYahoo!ショッピングは、国内の主要モールとしては2例目にあたる。
LINEヤフーは、日本国内における買い物関連動画の視聴が前年比で50%以上伸びたとするYouTubeの社内データ(2026年4月時点)を挙げている。商品を動画で知り、そのまま買う行動が広がっているという説明である。
出店者から見た設計はこうだ。料率は基本が2〜4%で、これに上乗せした料率を店舗が自分で設定できる。上乗せするほど、クリエイターに取り上げられる可能性が高まるという建て付けである。成果が出たときにのみ費用が発生する点で、運用型広告とは費用の発生の仕方が違う。
事業者への影響
第一に、費用の性質である。成果報酬であるため、売れなければ費用は出ない。ただし料率は原価に直接乗る。2%と4%の差は、利益率の薄い商品では致命的になりうる。上乗せ設定を使うなら、商品ごとの粗利を確認したうえで率を決めることになる。全商品に一律の上乗せをかけるのは危うい。
第二に、選ばれる条件だ。クリエイターは紹介する商品を自分で選ぶ。料率が高いだけでは選ばれない。動画で見せやすい商品か、在庫が切れないか、価格が安定しているか。紹介した直後に売り切れれば、クリエイター側の報酬も消える。在庫と価格の安定は、ここでは集客の条件になる。
第三に、表示の責任である。ここは慎重に見たい。景品表示法のステルスマーケティング規制は2023年10月1日に施行された。消費者庁のQ&Aによれば、第三者の投稿が事業者の表示に当たるかは、事業者が表示内容の決定に関与したかで判断される。報酬を支払ったという事実だけで、ただちに事業者の表示になるわけではない。一方で、特定の訴求や評価を求めて個別に報酬を渡した場合は、事業者の表示に当たりうるとされている。
つまり、クリエイターへの関与を深めるほど、その動画の表現について自社が責任を負う可能性が高まる。料率の上乗せだけを行うのか、個別に依頼して訴求内容に踏み込むのか。この線をどこに引くかは、法務を含めて決めるべき事項である。健康食品や化粧品を扱う事業者は、薬機法の観点でも確認が必要になる。
始める前に整理しておきたい項目は次の3つである。
- 上乗せ料率を設定する商品を、粗利率の高いものに絞って選ぶ
- 紹介が集中したときに在庫が保てる商品かを確認する
- クリエイターへの依頼や指示を行うかどうかを、社内で決めて記録する
今後の見通し
国内の主要モールで2例目が出たことで、動画経由の販路は標準的な選択肢に近づいたとみられる。ほかのモールが続く可能性はあるが、現時点で確認できる発表はない。
出店者が上乗せ料率をどの水準に置くかは、今後の競争の対象になる可能性がある。料率の引き上げ競争になれば、成果報酬という費用の軽さは薄れる。
店舗側の具体的な設定手順や、料率の上限、レポートの粒度について、公式リリースに記載はない。Yahoo!ショッピングの店舗向け案内で順次示されるとみられる。
【利益相反の開示】本紙の発行元であるLAMP株式会社は、事業者向けに運用型広告およびEC支援の業務を行っており、記事中で言及したLINEヤフーおよびGoogleのサービスを業務上取り扱っています。
出典
- LINEヤフー「Yahoo!ショッピング、「YouTube ショッピング アフィリエイト プログラム」と連携 クリエイター動画を通じた新たな商品との出会いや購買体験を提供」(2026年9月25日):https://www.lycorp.co.jp/ja/news/release/020834/
- 消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」(景品表示法の指定告示、2023年10月1日施行):https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/faq/stealth_marketing/
- ネットショップ担当者フォーラム「LINEヤフー、「Yahoo!ショッピング」と「YouTube ショッピング アフィリエイト プログラム」を連携」(2026年9月28日):https://netshop.impress.co.jp/n/2026/09/28/16789





