ヤマト運輸は2026年10月28日、軽貨物車両を1台貸し切って届け先へ直送する「クロネコ軽貨物チャーター」の提供を始めた。法人向け会員サービス「ヤマトビジネスメンバーズ」(YBM)の画面で、見積もりから発注までを最短1分で終えられる。受け付けは深夜早朝を含む24時間365日で、依頼から最短30分で集荷に向かう。貨物の配送はCBcloudの「ピックゴー」が担い、運送契約は顧客とCBcloudの間で結ばれる。
背景
同社が挙げる利用場面は5つある。今すぐ届けたい緊急配送、指定した時間に届けるジャストインタイム配送、一時的な需要増に対応するスポット配送、精密機器など梱包が難しい荷物、そして宅急便規格(3辺合計200cmまたは重さ30kg以内)を超えるサイズの荷物だ。荷物の積み替えをせず、1台で届け先まで運ぶ。
手順は5段階である。YBMにログインしてサービス利用ページを開き、集荷先、配達先、集荷と配達の日時などの条件を入力する。画面に出る見積額を確認して依頼を送ると、配送ドライバーから応募が入る。ドライバーを選んだ時点で依頼が確定し、費用が発生する。ドライバーの現在地と配送状況はオンラインで追える。手配の母数は全国10万人超の配送ドライバーだとしている。
料金は距離制と時間制の2タイプで、金額は画面の見積もりで確認する。請求は宅急便などの運賃や料金と合わせて行われる。現金払いや個別の請求書処理の手間を減らす狙いだ。利用できるのは、ヤマト運輸と法人(掛売)契約があり、YBMに登録済みの顧客である。YBMの登録は約180万社とされる。
同社は、依頼内容に応じてドライバーを手配する仕組みであり、依頼の時点で運送を確約するものではないと明記している。成約率は96.5%で、2025年1月から12月の実績としている。
事業者への影響
位置づけを間違えないことが先決だ。これは通常便の置き換えではなく、通常便で間に合わない場面の保険である。送料の安い通常便と比べれば単価は高くなる。使いどころは、欠品の緊急補充、卸先への当日納品、セールやクラウドファンディングの発送量を読み違えたときの逃げ道、宅急便規格を超える家具や機材の単発配送あたりになる。
導入の前に詰めたい点は4つある。
- 自社がヤマト運輸と法人(掛売)契約を結び、YBMに登録しているか
- 運送契約の相手がCBcloudになる点を、社内規程と事故時の連絡経路に反映できるか
- 運送を確約しない仕組みのため、手配できなかった場合の代替手段を併走させられるか
- 金額が画面の見積もりでしか分からないため、現場で発注できる上限額を先に決められるか
2つめは見落としやすい。受け付けと請求はヤマト運輸だが、荷物を運ぶ契約はCBcloudとの間に立つ。荷物事故や遅延が起きたときに誰へ連絡し、どの約款で処理されるのかを、使い始める前に確認しておきたい。配送品質の管理を委託先に求めている事業者は、委託先一覧の更新も要る。
送料の前提が動いている時期でもある。本紙10月28日号で扱った福山通運の運賃改定のように、届出運賃の水準は上がっている。通常便の単価が上がるなかで、スポット便をどこまで持つかは送料設計の一部になる。
今後の見通し
提供エリアと料金水準は公表されていない。距離制と時間制の区分はあるが、単価や計算式の記載はなく、見積もりを取るまで水準が分からない。段階的な展開や地域の限定についても記載がない。実際の手配しやすさは、地域と時間帯によって差が出る可能性がある。導入を検討する事業者は、繁忙期に入る前に自社の集荷先で試算を取っておくのが現実的とみられる。
出典
- ヤマト運輸「24時間365日、緊急配送やスポット配送などの多様なニーズに迅速に対応する『クロネコ軽貨物チャーター』を提供開始」2026年10月28日 https://www.yamato-hd.co.jp/news/2026/newsrelease_20261028_1.html
- 共同通信PRワイヤー(ヤマトホールディングス)同件リリース 2026年10月28日 https://kyodonewsprwire.jp/release/202610278764
- LNEWS「ヤマト運輸/緊急やスポット配送に『クロネコ軽貨物チャーター』提供開始」2026年10月28日 https://www.lnews.jp/2026/10/s1028503.html


