auコマース&ライフは9月24日、「au PAY マーケット」における2026年上半期(1〜6月)の「安心・安全への取り組みレポート」を公開した。いわゆるやらせ注文が2025年度下半期と比べて98%減ったほか、AIの導入で違反出品の検知効率が600%向上したとしている。
背景
モールにとって、出品と注文の健全性は集客の前提になっている。ステルスマーケティングが景品表示法の規制対象に加わって以降、レビューや注文の操作は、事業者だけでなく場を提供するモール側の問題としても扱われるようになった。
同社が公開したレポートによると、2026年4月、プラットフォーム全体の新規出品を対象に、規約違反にあたる出品をAIで検知するしくみを導入した。人の目による判断からAIによる判断へ切り替えたことで、違反出品の検知効率が600%向上したという。
やらせ注文については、AIによる24時間の監視と、専門の担当者による目視審査を組み合わせている。この結果、2025年度下半期と比べて98%の削減に至ったとしている。ユーザーからの通報件数も43%減った。あわせて5月には、指定薬物に関する規制対象のカテゴリーで年齢確認のフローを含む審査を実施したとしている。
事業者への影響
検知の主体がAIに移ると、出店者側で変わることがある。
第一に、出品時の記載が審査の対象になる。カテゴリーの選び方、商品名に含めた語句、効能に触れる表現。人が見ていれば文脈で通っていたものが、機械的な判定では引っかかることがある。とくに健康食品や化粧品のように、薬機法と景品表示法の両方がかかる商材は、既存の出品も含めて表現を見直す余地がある。
第二に、誤検知への備えだ。検知効率が600%向上したという数字は、裏を返せば検知の網が広がったことを意味する。正当な出品が止まった場合に、どこへ、どの材料をそろえて申し立てるのかを、あらかじめ決めておきたい。売れ筋商品が繁忙期に止まると、復旧までの時間がそのまま損失になる。
第三に、レビュー施策の点検である。購入後のレビュー依頼それ自体は一般的な運用だが、注文や評価に手を加える施策との線引きは、モール側の判定が厳しくなる方向にある。外部業者に委託している場合は、手法を確認しておく必要がある。
今後の見通し
同社は今後も業界団体や関係省庁と連携し、不正のない状態をめざすとしている。同様の取り組みは他のモールにも広がる可能性がある。
出店者から見れば、審査は「人が見て判断するもの」から「まず機械が判定し、必要に応じて人が見るもの」へ移っていくとみられる。出品情報の整備は、売上を伸ばすための作業であると同時に、審査を通すための作業にもなる。
出典
- auコマース&ライフ株式会社 プレスリリース「“ショッピングにおける不正ゼロ”に向けた「au PAY マーケット」のサイト健全化の取り組みについて」2026年9月24日 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000429.000035663.html
- MarkeZine「au PAY マーケット、やらせ注文を98%削減 2026年上半期の取り組みレポートを公開」2026年9月24日 https://markezine.jp/news/detail/77688
- ケータイ Watch「au PAY マーケット、AIで違反出品の検知効率600%向上 ユーザー通報は43%減」2026年9月24日 https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/2142849.html





