消費者庁の食品衛生基準審議会・新開発食品調査部会は2026年10月26日、サプリメントを食品衛生法上で「サプリメント食品」と定義し、製造管理の基準(GMP)の遵守を義務づける告示案を了承した。対象は錠剤やカプセル剤で、グミや飲料などの形状は付則により当面除外される。健康食品を扱う通販事業者は、委託先の製造所がこの基準を満たせるかを確認する段階に入った。
背景
今回の案は、2018年の食品衛生法改正の施行後5年を目途とした見直しから続く議論の帰結である。部会は2025年11月27日から2026年6月9日まで計5回の審議と10団体へのヒアリングを行い、2026年6月19日に中間とりまとめを公表した。10月26日の部会はオンラインで開かれ、資料1「サプリメント食品に係る規格基準の策定等について」が示された。
定義は3つの要素で組み立てられている。通常の食事による栄養摂取や生理機能の調節を補助する目的であること。含まれる成分の一部または全部が製造工程で濃縮されていること。錠剤、カプセル剤、液剤、粉末剤など摂取しやすい形状であること。過剰摂取のおそれがあるものも含む。これに該当する食品を「サプリメント食品」と呼ぶ。
GMPは、規格基準告示の「食品一般の製造、加工及び調理基準」に、内閣総理大臣が定める基準に適合する方法で行う旨の規定を置く形で義務化する。具体的な内容は、新たに策定する「サプリメント食品及び指定成分等含有食品GMP告示」で定める。資料1には次の項目が並ぶ。
- 総括責任者の下に製造管理責任者と品質管理責任者を置く
- 品質管理上重要な原材料の同等性・均一性を確認する
- 原材料を消費期限等に1年を加えた期間、保管する
- 製造手順からの逸脱を管理する
- 品質管理上重要な工程を複数の作業員で確認する
- 出荷の可否を決定し、記録を保管する
構造設備の基準はGMP告示には含めず、従来どおりGMP通知に基づく運用を続ける。
事業者への影響
負担の大きさは、製造の委託先が機能性表示食品のGMPに対応しているかで分かれる。今回のGMP告示案は機能性表示食品のGMP告示を土台にしており、すでに対応している製造所であれば追加の負担は小さいとみられる。対応していない製造所に委託している場合は、責任者の設置と記録の保管体制の整備が要る。
自社で製造していない通販事業者が確認すべき点は4つある。
- 委託先の製造所が機能性表示食品のGMPに対応しているか
- 自社商品の形状が錠剤・カプセル剤か、付則で当面除外される形状か
- 原材料の保管期間が延びることによる、製造原価や最低ロットの変化
- 出荷の可否判定と記録が前提になることによる、納期とリードタイムの変化
形状による線引きも効く。グミ、飲料、ゼリーなど一般の加工食品と同じ形状のものは、一般の菓子ラインで製造される例が多いため、当面はGMP遵守義務の対象から外れる。付則に規定し、事業者の自主的な取り組みを促す。恒久的な除外ではない。
成分規格と表示については、資料1に具体的な規定がない。食品表示は関係省庁の連携の下で対応していくことが望まれる、という記述にとどまる。
今後の見通し
告示として公布されるまでには、食品安全委員会への評価依頼、パブリックコメント、WTO通報といった手続きが残る。資料1には、これらの実施時期も、GMP規定の施行期日や猶予期間の記載もない。グミなどの除外についても、事業者の取り組みや意見を踏まえて見直される可能性がある。製造委託先との契約更新が近い事業者は、GMP対応の有無を契約条件に含めるかどうかを先に整理しておくとよい。
出典
- 消費者庁「令和8年度第4回食品衛生基準審議会新開発食品調査部会(オンライン会議)の開催について」令和8年10月26日開催 https://www.caa.go.jp/notice/entry/047800
- 消費者庁 資料1「サプリメント食品に係る規格基準の策定等について」令和8年10月26日 https://www.caa.go.jp/policies/council/fssc/meeting_materials/assets/fscc_cms105_261026_02.pdf
- 食品と開発「サプリメント食品、製造ルール義務化へ 消費者庁部会が告示案了承」2026年10月27日 https://www.kenko-media.com/food_devlp/12798/
- 通販通信ECMO「『サプリメント食品』の名称に、食品衛生法の規格基準(案)を了承…消費者庁の調査部会」2026年10月27日 https://www.tsuhannews.jp/news/detail/76039


