消費者庁の「現代社会における消費者取引の在り方を踏まえた消費者契約法検討会」が9月9日、第9回会合を開いた。議題は中間取りまとめ案である。通販新聞によると、検討会はサブスクリプションの解約妨害の禁止、新たな解除権の導入、解約料に関する事前の情報提供の3点を提言した。消費者庁は消費者契約法の改正に向けた作業に入り、来年の通常国会への法案提出を目指す。
背景
検討会は2025年11月25日に始まり、9月9日で9回目を数える。中間取りまとめ案が示されたのは8月31日の第8回会合だ。TBS NEWS DIGの報道によると、案は解約妨害として3つの行為を挙げた。解約の判断に影響する事柄について嘘をつく行為、不確実な内容について断定的な情報を提供する行為、解約の申し入れを拒否したり不当に遅らせたりする行為である。
現行の消費者契約法は、契約を結ぶ場面の勧誘を主な規律の対象としてきた。契約を続けさせる場面、つまり解約を申し出た消費者への対応は、条文で捉えにくい。ここが空白になっているという問題意識が、今回の議論の出発点にある。
もう1つ押さえておきたいのは、規律の議論が2本立てで進んでいる点だ。消費者庁の「デジタル取引・特定商取引法等検討会」も9月2日の第9回会合で中間とりまとめ案を示し、定期購入の最終確認画面の表示義務やダークパターンの規律を論点に挙げている。日本流通産業新聞によると、サブスクに関する規定は特商法側の検討会と連動して整備される見通しだ。
事業者への影響
最も影響が大きいのは解約フローである。解約の申し入れを受けてから処理までに日数を置く運用、電話のみを解約窓口とする運用、引き止め画面を複数回はさむ運用は、いずれも「拒否」や「不当な遅延」に当たるかどうかの検討がいる。まずは自社の解約導線を、申し込み導線と同じ手数で通れるかという物差しで測り直したい。
解約料も論点になる。提言は、勧誘の段階で損害賠償額の予定などをあらかじめ伝えるよう事業者に促す内容だ。中途解約時の違約金、初回割引分の返還を求める契約、最低利用期間を設けた契約は、金額と条件を申し込み前に示す形へ寄せる必要が出てくる。日本流通産業新聞によると、検討会では解約料の立証責任を事業者側に転換する案も議論の対象になっている。
3点目の解除権は、判断力が十分でない消費者が生活の基盤を損なうような高額契約を結んだ場合を想定している。高単価の定期購入や長期の継続契約を扱う事業者は、申し込み時の意思確認の手続きを点検しておきたい。
いま着手できることは限られない。解約導線の手数の棚卸し、解約料の表示位置の確認、コールセンターの応対スクリプトの見直しは、いずれも法改正を待たずに進められる。
今後の見通し
中間取りまとめの確定版と第9回会合の配布資料は、本稿の執筆時点で消費者庁のウェブサイトに掲載されていない。文言は公表後に確認する必要がある。改正法案が来年の通常国会に提出された場合でも、成立から施行までには準備期間が置かれるのが通例で、ただちに運用変更を迫られるわけではないとみられる。ただし、特商法側の検討会と歩調をそろえる形で規律が固まる可能性があり、定期購入を扱う事業者は2つの検討会の動きを並べて追うのが現実的だ。
出典
- 消費者庁「第9回現代社会における消費者取引の在り方を踏まえた消費者契約法検討会について」2026年9月4日 https://www.caa.go.jp/notice/entry/047380
- 消費者庁「現代社会における消費者取引の在り方を踏まえた消費者契約法検討会」(開催状況・配布資料) https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/meeting_materials/review_meeting_006/
- 通販新聞「「サブスク規制」「解除権の導入」「解約料の情報提供」を提言、消費者契約法検討会が中間取りまとめ」2026年9月9日 https://www.tsuhannews.jp/news/detail/75907
- 日本流通産業新聞「【消費者契約法検討会】特商法連携でサブスク規制/秋に中間案 事業者と意見対立も」2026年8月28日 https://www.bci.co.jp/nichiryu/article/20226
- TBS NEWS DIG「サブスク解約妨害の規制へ 消費者庁検討会で中間とりまとめ案公表」2026年9月1日(転載記事で確認) https://news.cube-soft.jp/article/4093624





