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D-SHOGYO
2026年10月25日(日)
EC・店舗集客・検索マーケティングの専門紙
広告・CRM

H2Oリテイリングが百貨店アプリを投入 共通ID100万会員をリテールメディアへ

エイチ・ツー・オー リテイリングは9月9日、「阪急阪神百貨店アプリ」を9月30日に始めると発表した。グループ共通ID「H2O ID」は8月末に100万会員を超えた。百貨店の顧客基盤が広告事業の原資になる。

H2Oリテイリングが百貨店アプリを投入 共通ID100万会員をリテールメディアへ

エイチ・ツー・オー リテイリングは9月9日、「阪急阪神百貨店アプリ」を9月30日に提供開始すると発表した。あわせて、グループ共通ID「H2O ID」の会員数が2026年8月末時点で100万を突破したことを公表した。アプリはこの共通IDと連携し、購買情報やイベント予約、お気に入り登録の情報を一つの画面に集約する。同社は顧客データを活用したビジネスを、マーケティング支援やリテールメディアといったB to B領域と、地域課題の解決を狙うB to G領域で進める方針を掲げている。

背景

百貨店は長らく、外商とハウスカードで顧客を把握してきた。ただし把握の単位は事業会社ごと、店舗ごとに分かれがちで、グループ全体で一人の顧客を追う仕組みにはなりにくい。食品スーパー、百貨店、その他の事業が別々のIDで動いていれば、同じ人が別人として数えられる。

H2O IDの起点は百貨店ではない。2023年5月に大阪府高槻市で始めた食に関するサービス「まちうま」、2025年5月に兵庫県川西市で始めた健康分野の実証「まち健」と、地域サービスから会員を積み上げてきた経緯がある。そのうえで今回、グループの中核である百貨店にIDを実装する。順序としては、IDを先に育て、あとから主力事業に載せる形だ。食品スーパーのアプリは2027年春に公開する予定という。

事業者への影響

自社ECや実店舗でCRMを設計している事業者にとって、参考になる点は3つある。

  • ID統合の順序。ポイントカードを起点にせず、周辺サービスでIDを育ててから主力事業に載せる進め方は、既存会員制度との衝突を避ける一つの解になる。
  • ステージ設計の実例。報道によれば、カスタマープログラムは年間購入額に応じた6段階で、下限は年10万円未満、上限は年300万円以上とされる。高額帯まで刻む設計は、客単価の高い商材を扱う事業者の参考になる。
  • データの出口を最初から示していること。会員を集める話と、その先の収益化の話を同じ発表に入れている点は、社内で顧客基盤への投資を説明する際の論法として使える。

メーカーやブランド側の視点では、百貨店がリテールメディアとして広告面を持つ可能性が出てきたことになる。小売の広告事業化はEC事業者の間で先行してきたが、実店舗の購買データを持つ百貨店が加われば、出稿先の性質は変わる。ただし広告商品の内容も開始時期も公表されておらず、現時点で具体的な検討に入れる段階ではない。

今後の見通し

2030年度の目標として、グループ共通IDで1000万会員、百貨店アプリで300万人が示されている。現在の100万会員からの10倍であり、いずれも目標値で、達成が確定した数字ではない。読むべきは到達点ではなく、そこへ向けてどの事業にIDを載せていくかという順序だろう。

リテールメディア事業の具体像は、アプリの稼働状況を見てから明らかになるとみられる。会員が実際にアプリを使い、購買と紐づくデータが貯まらなければ、広告面としての価値は立ち上がらないためだ。まずは9月30日の提供開始後、ダウンロード数とステージ制の運用がどう動くかが観察点になる。

出典

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