国土交通省は10月16日、改正物流効率化法の施行期日を定める政令を閣議決定した。施行日は11月1日。トラックの長距離輸送を複数の運転者で分担する「中継輸送」を後押しする制度が動き出す。荷主や倉庫業者にも、中継輸送の促進に協力する努力義務が置かれる。政令の公布は10月21日の予定である。
背景
物流効率化法は2024年5月15日に公布された改正(2024年法律第23号)で、荷主と物流事業者に物流効率化の努力義務を課した。努力義務は2025年4月1日に施行され、一定規模以上の特定事業者には中長期計画の作成・提出などの義務が2026年4月から適用されている。荷主が物流の当事者として名指しされる段階を、業界はすでに一度通過している。
今回の改正法は2026年5月20日に公布された(2026年法律第21号)。狙いは中継輸送の普及である。一本の長距離輸送を途中で区切り、運転者を交代させるか、貨物を積み替えて次の車両に引き継ぐ。一人の運転者が担う走行距離が短くなるため、拘束時間と過労運転のリスクを下げられる。運転者の高齢化と人手不足が続き、2024年4月からは運転者に新しい労働時間規制が適用されている。
制度の骨格は三つある。国土交通大臣が中継輸送の実施に関する基本方針を定めること。中継輸送を行う者が共同で「貨物自動車中継輸送実施計画」を作成し、国土交通大臣の認定を受けられること。そして国・地方公共団体・トラック事業者・荷主・倉庫業者などに、中継輸送の促進に必要な助言や協力を行う努力義務を置くことだ。認定された計画に基づく取組には各種の支援措置が講じられる。
同じ10月16日には、施行令を改める政令も閣議決定された。実施計画の認定などに関する国土交通大臣の権限の一部を、実施区域を管轄する地方運輸局長に委任する内容を含む。認定の窓口が地方に置かれることになる。
事業者への影響
EC事業者に新たな届出義務が生じるわけではない。影響は取引条件の側から来る。中継輸送を組もうとする運送会社にとって、荷主の協力は計画の前提になるためだ。
- 積込みと荷卸しの時間帯の変更を求められる場面が増える可能性がある
- 途中で積み替える前提になるため、外装の強度やパレット単位での荷姿の見直しが論点になりうる
- 幹線を区切る分、納品リードタイムの置き方が変わる可能性がある
- 特定事業者に当たる荷主は、中長期計画のなかで中継輸送への協力をどう位置づけるかを検討する余地がある
地方からの受注が多い事業者や、拠点間で在庫を動かす事業者は、11月以降に運送会社から持ち込まれる提案を断る前提で見ないほうがよい。努力義務に罰則は伴わないが、取引の現場では交渉の材料になる。逆に、積替えに耐える荷姿と柔軟な時間指定を先に用意できれば、運賃交渉で有利に働く可能性がある。
今後の見通し
実施計画の受付開始の時期や認定の基準は、施行後に示されるとみられる。認定を受けた計画に対する支援措置の具体的な内容も、10月16日の報道発表資料からは確認できない。中継の拠点が高速道路の周辺に整備されていけば、幹線の運び方そのものが変わる可能性がある。荷主としては、まず自社の荷物が中継に向く荷姿かどうかを確かめるところから始めたい。
出典
- 国土交通省 報道発表資料「『物資の流通の効率化に関する法律の一部を改正する法律の施行期日を定める政令』を閣議決定」(2026年10月16日)https://www.mlit.go.jp/report/press/tokatsu03_hh_000023.html
- 国土交通省 報道発表資料「『物資の流通の効率化に関する法律施行令及び独立行政法人中小企業基盤整備機構法施行令の一部を改正する政令』を閣議決定」(2026年10月16日)https://www.mlit.go.jp/report/press/tokatsu03_hh_000024.html
- 国土交通省 報道発表資料「『物資の流通の効率化に関する法律の一部を改正する法律案』を閣議決定」(2026年3月6日)https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000351.html
- 国土交通省「物流効率化法について(荷主・物流事業者の皆様へ)」https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/seisakutokatsu_freight_mn1_000034.html
- LNEWS「国交省/改正物流効率化法11月1日施行へ、トラック中継輸送を支援」(2026年10月16日)https://www.lnews.jp/2026/10/s1016104.html


