楽天グループは9月16日、中国・杭州に「楽天越境EC(中国)有限公司」を設立したと発表した。設立日は8月24日である。中国の事業者を「楽天市場」へ誘致し、出店前の説明会から出店後の運営支援までを担う。同社はこれまで上海と深圳の拠点で支援を行ってきた。
背景
楽天市場には、中国、韓国、米国などから海外事業者の出店が増えている。楽天によると、出店数は2025年に1000店舗を突破した。海外事業者による流通総額は、2020年から2025年の年平均成長率が30%以上である。
中国の事業者については、小型家電やアウトドア製品を中心に越境ECをけん引してきたと楽天は説明する。新会社を杭州に置くことで、華東、華北、華中の各エリアをカバーする。代表者は周洋氏である。
新会社が提供するのは、出店前と出店後の支援である。出店前には、日本市場の特性や消費者の傾向を伝える説明会を開く。出店後は、日本語と中国語でEC運営のノウハウを伝える。楽天スーパーセールや楽天お買い物マラソンといった販促企画の活用、集客と再購入に向けた施策も支援の対象に入る。杭州には出店者向けのサポート窓口を置く。
事業者への影響
国内の出店者から見れば、同じモールの中で競合が増える話である。
第一に、カテゴリの重なりだ。小型家電とアウトドア用品は、中国の事業者が得意としてきた領域だと楽天自身が説明している。同じカテゴリで出品が増えれば、検索結果やランキングでの位置取りは変わる。自社の主力商品がこの2つに近いかどうかは、今週中に確認できる。
第二に、販促企画での競合である。新会社の支援内容には、楽天スーパーセールと楽天お買い物マラソンの活用が明示されている。企画への参加を前提に売上を組み立てている店舗は、同じ企画枠でより多くの出品と競うことになる。値引き幅だけで戦う設計は、これまでより苦しくなるとみられる。
第三に、差別化をどこに置くかだ。国内出店者の強みは、配送日数の短さ、返品への対応、日本語での問い合わせ対応、商品説明の細かさにある。問題は、それが商品ページから読み取れるかどうかである。送料と配送日数を明記し、返品条件を条件付きでない言葉で書き、問い合わせへの返答時間を示す。この3つだけでも、比較の材料になる。
今週できる点検は次の3つである。
- 主力商品のカテゴリで、海外事業者の出品が増えていないか確認する
- 商品ページに配送日数・返品条件・問い合わせ窓口を明記する
- 販促企画に依存した売上構成になっていないかを見直す
今後の見通し
楽天は、新会社を通じた出店数の目標を公表していない。支援対象となる事業者の規模や業種も示されていない。海外事業者の出店が今後も増えるかどうかは、為替や通関の条件にも左右されるとみられる。
モールが海外事業者の誘致を強めること自体は、流通総額を押し上げる施策である。出店者から見た競争環境と、モール側の成長戦略は必ずしも一致しない。国内の出店者は、自社が置かれた位置を定期的に確認しておきたい。
出典
- 楽天グループ「楽天、「楽天市場」への中国事業者の出店および運営をサポートする新会社「楽天越境EC(中国)有限公司」を杭州に設立」(2026年9月16日):https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2026/0916_01.html
- ネットショップ担当者フォーラム「楽天が中国事業者の越境ECを支援、現地企業の「楽天市場」出店・運営を支援する「楽天越境EC(中国)有限公司」を杭州に設立」(2026年9月17日):https://netshop.impress.co.jp/n/2026/09/17/16758



