楽天グループは8月25日、プチプラアイテムを集めた新オンラインストア「楽天ラクヨコ」を開設した。「楽天市場」とは独立した販売チャネルで、楽天による直販形式を取る。数百円からのファッションアイテム、スマホアクセサリー、インテリア・キッチン雑貨など、約6万商品からスタートし、順次拡充する方針だ。
背景
楽天市場は、出店者が自ら商品を販売するテナント型のモールである。今回のラクヨコは、その枠外に置かれた楽天自身の直販ストアだ。ウェブブラウザとiOS・Androidアプリに対応し、SNSのような縦スクロール設計でパーソナライズした商品提案を行う。購入金額100円(税抜)につき楽天ポイントが1ポイント付与される。
同社は開設の狙いを、若年層の獲得と楽天エコシステムへの新規参入点の創出と説明する。低単価商品を短時間で見て回る購買行動は、近年、中国発の越境ECサービスが広げてきた領域と重なる。国内の主要モール運営者が、自社チャネルでこの土俵に踏み込んだ形になる。
事業者への影響
出店者にとっての最大の論点は、競合関係が生じるかどうかである。プレスリリースには出店・出品の募集に関する記載がなく、商品の調達方法も明らかにされていない。仕入れ先が楽天市場の既存出店者やその取引先と重なる場合、同一グループの運営する2つのチャネルで似た商品が並ぶ状況が生まれる可能性がある。
低単価帯を扱う事業者は、まず自社の主力商品がラクヨコの取扱カテゴリと重なるかを確認したい。ファッション小物、スマホアクセサリー、キッチン雑貨はいずれも該当する。次に、楽天市場の検索結果やアプリの導線にラクヨコへの誘導が入るかどうかを、実際の画面で見ておく必要がある。モール内の回遊が別チャネルに向かうなら、モール内広告の費用対効果にも影響が出る。
一方で、直販は在庫リスクを楽天側が負う形になる。「楽天が厳選した」商品構成をうたう以上、品揃えの拡大には人的・資金的な制約がかかる。当面、楽天市場の流通額を大きく置き換えるものではないとみられる。過剰に反応するより、取扱カテゴリと商品数の推移を定点で観測するのが現実的だ。
今後の見通し
楽天は定期的なセールの開催とクーポン配布キャンペーンを継続実施するとしている。商品数は順次拡充する方針だが、目標数や時期は示されていない。出店者から商品を仕入れる仕組みが用意されるのか、外部からの調達に限るのかも公表されていない。この点が明らかになるまでは、出店者側の対応は状況の確認にとどめるのが妥当と考えられる。取扱商品数が数十万規模に拡大するようなら、位置づけを見直す必要が出てくる可能性がある。
出典
- 楽天グループ株式会社「楽天、プチプラアイテムを集めた新オンラインストア「楽天ラクヨコ」を開設」(2026年8月25日)https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2026/0825_01.html
- 同リリース(PR TIMES版)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002683.000005889.html
- ネットショップ担当者フォーラム「楽天グループ、ファッションや雑貨などのプチプラアイテムを販売する「楽天ラクヨコ」を開設」(2026年8月27日)https://netshop.impress.co.jp/n/2026/08/27/16622



