楽天グループは9月10日、自動配送ロボットを使った商品配送サービスの対象エリアを東京・豊洲へ拡大したと発表した。同日からサービスを開始している。新たに加わったのは江東区の豊洲1〜5丁目と6丁目の一部で、約1万7000戸が対象になる。すでに提供している中央区の晴海、月島、勝どき、佃と合わせると、カバーする世帯は5万戸を超える。届け先として指定できる場所は、豊洲での62カ所追加により合計254カ所となった。
背景
自動配送ロボットによる配送は、2023年4月施行の改正道路交通法で公道走行の枠組みが整って以降、各社が実証を重ねてきた分野だ。ただ多くは期間や区画を限った試験で、常時運用される「面」としてのインフラには育っていなかった。
今回の拡大で目を引くのは規模である。参加店舗は豊洲で14店舗が加わり、全体で44店舗。取り扱う商品は9500点以上にのぼる。食料品、フード、カフェ・スイーツ、日用品・雑貨と、カテゴリーも生活必需品に寄っている。配送料は税込100円、受付時間は10時から21時で、最短30分後から最長6日先まで15分刻みで時間を指定できる。実証の域を出た運用設計といえる。
事業者への影響
まず押さえるべきは、これが全国の話ではないことだ。対象は中央区と江東区の限られた区画に留まる。自社の店舗や倉庫がこの範囲にあるかどうかで、意味はまったく変わる。該当しない事業者にとっては、当面は「先行事例の観察」以上のものではない。
該当エリアで店舗を持つ小売・飲食にとっては、判断材料が3つある。
- 配送料100円という水準。既存のデリバリー代行と比べて、利用者が負担する送料の相場観が変わる可能性がある。自社の即配や店頭受け取りの設計に影響しうる。
- 15分刻みの時間指定。受け取り時刻を細かく選べることは、住宅地では再配達の削減に直結する。置き配の運用とどう組み合わせるかは検討に値する。
- チャネルの一つとして載るかどうか。参加店舗が30店舗台から44店舗へ増えた事実は、エリア内で「載っている店」と「載っていない店」の差が可視化され始めたことを意味する。
加えて、湾岸の高層住宅が密集する地域という条件も見落とせない。世帯密度が高く、配送先を集約しやすい地形だからこそ成立している面がある。同じ設計がそのまま郊外や地方に移せるとは限らない。
今後の見通し
次の拡大先や時期について、楽天グループは公表していない。ただ、中央区から江東区へと隣接エリアをつなげる形で広げてきた経緯を踏まえると、湾岸沿いの高密度な住宅地域から順に広がっていく可能性がある。
事業者側の備えとしては、まず自社の立地が対象区画に含まれるかを確認することだ。そのうえで、参加店舗になる場合の条件、取り扱える商品の制約、既存の配送手段との併用可否を、個別に問い合わせて把握しておきたい。制度化された仕組みではなく、事業者ごとの契約で動く領域とみられるためだ。
出典
- 楽天グループ プレスリリース「楽天、自動配送ロボットによる商品配送サービス「楽天無人配送」の対象地域を豊洲へ拡大」2026年9月10日 https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2026/0910_01.html
- ネットショップ担当者フォーラム「楽天が自動配送ロボットによる商品配送サービス「楽天無人配送」を豊洲地域に拡大」2026年9月11日 https://netshop.impress.co.jp/n/2026/09/11/16719
- コマースピック「楽天グループ、自動配送ロボット「楽天無人配送」のサービスエリアを豊洲へ拡大し50,000戸超をカバー」2026年9月11日 https://www.commercepick.com/archives/102470
- LOGI-BIZ online「楽天、自動配送ロボットの商品配送サービス対象地域を東京・豊洲に拡大」 https://online.logi-biz.com/150156/




