消費者庁は2026年10月19日、同庁から調査の協力依頼を受けたと称する調査会社の電子メールについて、注意喚起を公表した。メールは「No1表示」を行う企業に順次連絡しているとして、表示の根拠を早く整理するよう促し、調査会社への返信を求める内容だという。
背景
景品表示法では、合理的な根拠のない「No.1」表示が優良誤認表示に当たる恐れがある。この数年、No.1表示の調査方法をめぐる指摘が相次ぎ、事業者側も根拠資料の整備を進めてきた。今回のメールは、その不安を突く形になっている。
消費者庁の注意喚起によると、メールの件名は「【大至急】【有料調査のご提案】」など。差出人は調査会社で、消費者庁表示対策課指導係から電話で任意の協力依頼を受けたと述べている。そのうえで、No1表示を続ける場合はできるだけ早く根拠を整理するよう勧め、調査会社への返信を求めている。
消費者庁は、指導係の業務範囲を示して否定した。指導係が受け付けるのは、事業者がこれから行う企画についての事前相談である。既に行われた事業者の表示について相談を受けたり、指摘をしたりすることはないとしている。
事業者への影響
判別の基準は単純である。既に出している表示について、行政機関の名前を挙げて連絡が来た場合、その連絡は消費者庁が示した業務の形と合わない。社名や肩書を調べる前に、この一点で切り分けられる。
実務では、窓口の整理が先になる。EC事業者の場合、広告や表示に関する問い合わせは制作会社、広告代理店、カスタマーサポートなど複数の経路から入る。現場の担当者が「消費者庁」の文言を見て急いで返信すると、取引の意思表示と受け取られかねない。表示関連の外部連絡は一次受けを決め、担当者が単独で返信しない運用にしておきたい。
No.1表示そのものの点検も別に必要になる。今回の手口が成立するのは、根拠資料に不安を抱える事業者が一定数いるためだ。確認したい点は次の4つである。
- 調査の実施主体と出所が明示されているか
- 調査期間が広告の掲載期間と離れていないか
- 比較対象の範囲が広告の文言と一致しているか
- 調査の母数と対象者の条件を開示できるか
外部からの連絡をきっかけにせず、自社の計画で進める形が望ましい。
今後の見通し
消費者庁は消費者と事業者の双方に注意を呼びかけている。ただし同種の手口が広がるかどうかは、現時点では分からない。行政機関の名称を使う勧誘は分野を変えて繰り返されてきた経緯があり、表示以外の領域でも同じ型の連絡が来る可能性がある。
注意喚起には、調査会社の社名や相談件数の記載はない。被害の広がりを外部から把握する材料は限られる。不審な連絡を受けた場合は、消費者庁の問合せ窓口に照会する経路が残されている。
出典
- 消費者庁「消費者庁から調査の協力依頼を受けたと騙る電子メールについて(注意喚起)」2026年10月19日 https://www.caa.go.jp/notice/entry/047850/
- 消費者庁「新着情報一覧」 https://www.caa.go.jp/notice/archive/


