農林水産省は9月11日、越後ファーム(新潟県東蒲原郡阿賀町)に対し、食品表示法第6条第1項にもとづき、袋詰精米の表示の是正を指示した。使用した原料玄米が同一でないにもかかわらず「単一原料米」と表示するなど、事実と異なる表示で販売していた。対象は9商品で、2025年12月10日から2026年4月17日までに合計439袋、313.8キログラムを販売していた。
背景
袋詰精米の表示は、食品表示基準で細かく定められている。産地、品種、産年が同一のものだけを使った場合に「単一原料米」と表示でき、複数を混ぜた場合は使用割合を併記しなければならない。産地や品種を単一の名称で書きながら割合を示さない表示は、この基準に反する。
今回の指示は、景品表示法ではなく食品表示法にもとづく。優良誤認を問う枠組みとは別に、表示基準そのものへの適合を問う枠組みが動いた形だ。米の価格が高い水準で推移し、産地や品種が売価に直結する状況が続いていることも、監視が強まる背景にある。
事業者への影響
注目すべきは、指示の中身が個別商品の修正にとどまらない点だ。公表資料によれば、農水省は同社に次の対応を求めている。
- 販売する全ての食品について表示を点検し、不適正な表示を是正すること
- 不適正表示の原因を究明し、分析すること
- 再発防止対策を実施すること
- 全ての役員と従業員に啓発すること
- 措置報告書を10月13日までに農林水産大臣あてに提出すること
一商品の不備が見つかれば、全商品の点検と全社への啓発まで求められる。これは食品を扱うEC事業者・店舗にとって、そのまま自主点検の型として使える。
EC特有の注意点もある。パッケージの表示が正しくても、商品ページの説明文やカテゴリ名、検索対策のために入れたキーワードが、産地や品種を単一のものと誤解させる書き方になっていないか。モールの商品名は文字数の制約から産地名を短く詰めがちで、割合の併記が落ちやすい。仕入れ先が変わった際に、商品ページだけ前の産地のまま残っているケースも起こりうる。パッケージと商品ページを別々に管理している事業者は、両者を突き合わせる工程を点検項目に加えておきたい。
今後の見通し
同社は10月13日までに措置報告書を提出する。その内容によっては、追加の対応が求められる可能性がある。今回は指示の段階であり、公表資料からは命令や罰則への移行は読み取れない。
米の産地・品種表示をめぐる監視は、当面続くとみられる。食品を扱う事業者は、原料の切り替え時に表示と商品ページを同時に更新する手順を決めておくのが実務的だろう。表示の点検は、指摘を受けてから始めるより、平時に回すほうが負担が小さい。
出典
- 農林水産省「越後ファーム株式会社における袋詰精米の不適正表示に対する措置について」2026年9月11日https://www.maff.go.jp/j/press/syouan/kansa/260911.html
- 通販通信ECMO「不適正表示で袋詰精米を販売 越後ファームに是正指示…農水省」2026年9月14日https://www.tsuhannews.jp/news/detail/75919





