日本郵便は10月2日、東京都江東区新砂の物流施設を取得したと発表した。土地は約5万9000平方メートル、延床面積は約15万平方メートルで、鉄筋コンクリート5階建て、2017年1月に竣工した建物である。隣接する新東京郵便局と一体で運営し、銀座郵便局や京橋郵便局など都内の郵便局の集配機能を集約する。中期経営計画「JPプラン2028」に掲げた、集配拠点の再編と連動した不動産開発の一環である。
背景
日本郵便は郵便物の減少と人件費の上昇に挟まれている。窓口と集配を同じ局で担う形から、集配を大型の拠点に集めて機械化と広域の配送に寄せる方向へ動いている。今回の取得は、その集約先を都心の近くに確保したものと位置づけられる。
もう一つの軸は不動産である。銀座郵便局の機能を移せば、銀座の敷地が開発に回る。発表は、企業間物流の強化も目的として挙げている。取得した施設の隣接地には、グループの日本郵便輸送の東京支店がある。輸送と集配を近接させる形になる。
移転の時期について、銀座郵便局の機能移転は2028年度までに完了すると報じられている。対象となる局の全体像は公表されていない。
事業者への影響
EC事業者が最初に受けるのは、差し出しと集荷の動線の変化である。都心の郵便局に荷物を持ち込んでいる事業者は、受付の場所と締め時間が将来変わる前提で組んでおきたい。集約が進めば、締め時間が前倒しになることも、逆に大型拠点の処理能力で後ろに延びることもある。現時点で確定した変更は示されていない。
中期では、日本郵便が企業間物流に寄る方向が効いてくる。小口のBtoCが相対的に優先されにくくなるのか、拠点の効率化で単価と品質が安定するのかは、まだ読めない。判断材料が出るまでに、配送手段を1社に寄せている状態かどうかを把握しておく価値がある。
不動産を収益の柱に据える動きは、配送網を維持する原資をどこから持ってくるかという話でもある。佐川急便が2027年1月からの運賃改定を発表している局面で、各社が利益をどこで作ろうとしているかは、来期の送料交渉の前提になる。
10月7日からできることは3つある。
- 差し出しに使っている郵便局と、その締め時間を拠点ごとに一覧化する
- 配送手段の構成比を出し、1社に依存している度合いを数字で押さえる
- 2027年以降の送料改定を織り込んだ原価の試算を始める
今後の見通し
取得価格は発表に記載がない。集約の対象となる局の一覧と、各局の移転の時期も公表されていない。差し出しや集荷の運用がいつ変わるかも示されていない。再編が進めば、他の大都市でも同様の集約が出てくる可能性がある。郵便局の窓口と集配が分かれていく流れは、今回で止まらないとみられる。
出典
- 日本郵政グループ「『集配拠点再編と連動した不動産開発』に向けた新たな物流施設の取得」(2026年10月2日):https://www.japanpost.jp/news/pressrelease/20261002_01/
- LNEWS「日本郵便/東京都江東区で15万m2の物流施設を取得、近隣郵便局再編し跡地で不動産開発へ」(2026年10月2日):https://www.lnews.jp/2026/10/s1002607.html
- ネットショップ担当者フォーラム「日本郵便、都内郵便局の集配機能を再編、江東区で新たな物流施設を取得」(2026年10月6日):https://netshop.impress.co.jp/n/2026/10/06/16827





